中京商業、中京大学硬式野球部の指導者、瀧正男さんが野球殿堂入り 梅村学園関係者では3人目

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2007年に自著「白球に乾杯」を発行した瀧さん

 中京大学の元体育学部教授、瀧正男さん(1921~2012年)の野球殿堂入り(特別表彰)が決まり、その名誉を公表する「平成30年 野球殿堂入り通知式」が1月15日、東京・文京区の公益財団法人野球殿堂博物館の野球殿堂ホールで行われた。
梅村学園関係では、延長28回完投の鉄腕投手として知られる野口二郎さん(1989年殿堂入り)、中京商業夏の甲子園3連覇投手の吉田正男さん(1992年殿堂入り)に次いで3人目の野球殿堂入り。また、大学野球指導者の殿堂入りは関東以外では初めてとなる。

 瀧さんは愛知県一宮市生まれ。中京商業学校時代に捕手として甲子園に5度出場、1937年夏に一員として優勝を経験、38年春には野口二郎投手とバッテリーを組み、主力として優勝に貢献した。名古屋高等商業学校(現・名古屋大学経済学部)を卒業後、戦地へ。マレーシアで捕虜生活を送り、47年に復員した。戦後は故郷の繊維メーカーに勤務していたが、当時の梅村清明校長の誘いもあって53年に母校中京商業高校の野球部長に就任した。同校では春夏合わせ、指導者として9度甲子園に出場し、2度の優勝を果たした。

 また、56年から中京大学硬式野球部の部長、監督として31年間にわたって指導者を務めた。この間、愛知大学野球リーグで11季連続を含む28度の優勝を果たし、70年には全日本大学野球選手権を制覇して、関東、関西の大学以外では初の同選手権優勝校となった。さらに後進の育成にも力を注いだ。教え子は全国に及び、多くの甲子園出場監督を育てるなどアマチュア野球界の発展に尽くした。86年から92年まで愛知大学野球連盟副会長を務めた。

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殿堂入り通知書を受ける瀧克己さん

 式には、瀧さんの長男で中京大学スポーツ科学部教授の瀧克己さん、同次男で本学職員の瀧健二さんが出席した。挨拶した克己さんは「父は野球が大好きで、ほかには趣味のない人でした。この春の七回忌に嬉しい報告ができます」と、感激で時折言葉を詰まらせながら語った。克己さんは父の言葉として「瀧正男は皆さまのおかげで大変幸せな人生を送ることができました」と述べ、締めくくった。
 また、瀧さんの教え子で中京大中京高校の硬式野球部監督などを務めた大藤敏行さんは「瀧先生は、選手、高校の指導者、大学の指導者としてすべてで優勝しておられます。バッテリーを中心とした守りの野球を大切にし、当時からデータ野球を重視しておられ、厳しい指導でした。しかし、それ以上に日常生活に厳しい先生でした」と思い出を語った。

 瀧さんの殿堂入りについて、長い間ともに中京商業高校野球部の指導をした深谷弘次さんは「一緒にやっていた者としてとてもうれしい。残された功績は殿堂入りにふさわしいものと思います。さらに瀧先生の素晴らしいところは野球だけでなく、教育者として長年、学生たちの教育に携わってこられ、多くの学生を育てられたことが特筆されます」と喜びを語った。

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瀧正男さんの思い出を語る大藤さん

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前列右から克己さん、原さん、前列左から松井さんの父・昌雄、金本さん

 今回は、瀧正男さんのほか、大リーグで活躍した松井秀喜さん、日本のプロ野球で最多連続試合全イニング出場の記録を持つ金本知憲さん、巨人監督やWBC監督を務めた原辰徳さんの3人が同時に野球殿堂入りし、松井、金本両氏がプレーヤー表彰、原さんがエキスパート表彰を受けた。

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